(始まりに見える話)
知らない世界だった。
そう言うには語弊があるかもしれない。
そもそも知っている世界など無いのだから。
記憶にあるのは果たすべき使命のみ。
終端へ導くもの。
その名を。
名を。
「――」
何かあったような気もするが形にならない。
ならばしょうがない。
さして必要なものでもない。
名前はない。
それでいい。
滅びを招くもの。
我は終端の王。
それだけが私の世界の全て。